2012年11月20日

おそれいります

おそれいります「美人」は、女性を対象に使う言葉なんだと思いますが、「美人」を定義付けることはカンタンではありません。「タデクウムシモスキズキ」などとも言われますし。。。

歳をとったせいか、自分自身の中でもその定義は、若い頃とは大きく変わり、一般的にキレイと評される女性を、それだけで「美人」とすることもなくなったようで、その仕草や声の響きなんかと共に、一緒に居る心地よさのようなものも「美人」の基準に加わっているように思います。


もちろん「好きな女性のタイプ」と「美人」は別物で、両方兼ね備えていただければ結構なことですが、ずいぶん前にギラギラした現役生活を引退している私は、「美人さん」を見つけては、怖がらせない程度の距離を厳守し、眺めているだけの日々を送っています。

「アタシって美人?」と、積極的に聞きたがる女性は《クチ裂けオンナ》さんぐらいしか存じ上げておらず、美人の定義について掘り下げること自体、不毛といえるのかもしれません。

おそれいります週末、久しぶりに「達磨(だるま)」に行ってきました。

達磨までは私鉄で移動しますが、たったの一駅、数分でたどり着けます。
豊富なメニューをリーズナブルに楽しめる居酒屋さんです。

座敷は大宴会が開けるほどのスペースで、会社関係や大学生のサークルなんかが便利に利用しています。
大手居酒屋チェーンほどの密着感も騒音感もなく、紳士的な宴会が多いのは、看板母さんやスタッフのお人柄もあるのだと思います。
カラオケもなく、お客さまはマジメに楽しく呑っています。

おそれいります店内に設置されたイケスから取り上げられたアジは、自分の置かれた立場に気づいていないのか、クチをパクパクしたまま刺身になってテーブルに運ばれ、熊本から直接取り寄せる厳選された馬肉は絶品で、ユッケやレバ刺しを食べることもできます。
私の特等席はカウンターにあって母さんを一人占めできる席ですが、この日もその席に座らせていただくことができ、まだ出入り禁止にはなっていないようです。
亡き母のその後を心配していただいたり、先の選挙情勢などの話しをしている最中も日曜日だと言うのに次々とお客さんが入ってきます。
接客のために度々話しは中断しますが、繁昌店において看板母さんを死守することなどできるはずもなく仕方ありません。ぁ、母さんは「美人さん」です。釜平の母さんもイイ線イッテます。

私の席は出入口を背にしているので、お客さおそれいりますまが出入りすることを100%の確率で知ることができます。
30代前半ぐらいの若いカップルが入店してきました。背も高くナカナカのイケメンのウシロを彼女がくっつくように入ってきました。

カウンターもそこそこ空きがあったのですが、この日デビュー戦となった彼らは座敷を選び、「先ずトイレに」とトイレに行った彼氏においていかれてしまった彼女は「こちらへどうぞ」と案内されると、『おそれいります・・・』と言ってスタッフに続いていきました。

ビールを吹き出しそうになりながら『おそれいります』って!?と、思わず振り返り彼女に目をやると、気品溢れる容姿端麗な「美人さん」。
貴族なのか、イイトコのお嬢様なのか、年貢に苦しむ「村の民」である私たちが使わないし、聞き慣れない言語を流暢に発しました。
間違いなく日常的に言い慣れているご様子。

おそれいります彼氏とはどんな言語で、どんな話題の話しをするのか気になるところですが、「おそれいります」などと高貴なオコトバを使う人間など、周辺には一切見当たらない私は、母さんに「おそれいりますってどんな時に使うのか?」と尋ねると、「天皇陛下から頂き物をした時くらいかなぁ。。。」と言います。
それなら一生の中で、ほぼ使わないと決定した言語を「若い美人さん」は使いこなしています。

私の席からは見えない位置に着席した彼女はオシボリとオトーシを届けた母さんにも「おそれいります・・・」と言ったようで、もォ2回も使っちゃいました。
「きっと城下の様子をご覧になりにいらっしゃったんだ」と、失礼がないように母さんに促し、さんざん盛り上がって時間は過ぎていきます。

おそれいります私がトイレから出てきたその場所からコッチ向きに座っていた「美人さん」が見えました。
気のせいか、誤解か、超常現象か、それともナニか重い病の兆候なのか、彼女はこちらを見て目を合わせた上で、会釈してくれたように見えました。
慌てていつもはしない手洗いをして、手拭き用のペーパーをできるだけガラガラと音を立てて、トイレのアトにはしっかり手を洗える大人であることをアピールしました。

おそれいりますムダに広がりまくる話しはつきませんが、「そろそろ帰るか。。。」と帰り支度をしていると、彼女たちも帰るようで座敷から出てきました。
一挙手一投足、品があるように見えてしまう彼女の振る舞いに見とれていると、マフラーのような編み物をイランの女性たちがするように頭にかけ、レジに向かいます。
会計が済むと、「おそれいります」と言ったかどうかは聞こえませんでしたが、足元を揃え、イギリス王室か、バレリーナのご挨拶のように軽くヒザを折り曲げます。

おそれいります感動し過ぎてお迎えの馬車が来ていたかどうかを確認するのを忘れてしまいました。

「美人さん」たちが帰られたアト、母さんも真似をしてヒザを曲げてみますが、「ヒザ悪いのか?」と聞きたくなるようなギコチなさです。しかも自分が思っているほど可愛い仕上がりにはなっていません。次の誕生日にはグルコサミンをプレゼントしてみましょうか。

おそれいります私とは絶対に運命の赤い糸はつながっていない彼女は、確かに「美人さん」なのですが、魔法の言葉や振る舞いがよりステキに彼女を演出しています。

しかし、自身の立場を十分に踏まえた上で、「天は二物を与えず」という言葉にすがってみれば、見た目や立ち居振る舞いだけで、一方的に彼氏をうらやむこともありません。
黒木瞳や壇れいが、誰かと結婚したときに乗り越えてきた精神力は身についています。

こんなエピソードが耳に入ればアンジーは声まで変えて突然、「ごきげんよう。ウフッ!」などと言い出しますが、「提供はライオンかっ!」と私の環境は相変わらずです。

どんなふうに育てたらあんなふうに育つのでしょう。。。
ムスメ1号・・・まだ間に合うんでしょうか。。。




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