2015年01月02日

おせちもいいけど・・・

おせちもいいけど・・・今年もまた解体の時期を迎え、少しばかりの身を残し、すっかり骨だけの状態になっています。

こういうモノを考えつく先人たちには常に敬意を表していますが、「モノがない時代」であることに気づくこともなく、目の前にあるモノを有効に活かす知恵には本当に恐れ入ります。
一方で、「モノがある時代」であるはずの現代では、ペヤングが棚から姿を消し、食ったって死にゃ~しないアルヨ!と、マックの関連工場のずさんな生産体制が問題になったりもして、その後の経営にも影響を与えたりすることもあるようです。
おせちもいいけど・・・実際、ずっとアノ体制だったんでしょうから、床に落ちた原料を元に生産されてきたにもかかわらず、「オイシイ、オイシイ!」と私達の口に入り、大きな健康被害も出ていないのだとしたら、あそこまで大騒ぎにする必要もなかったのかも知れませんが、ニュースや動画を目の当たりにすれば放っておくことができないのは必然なのかも知れません。
知らなきゃ通り過ぎていたことが、思いある人の置かれた立場によって世間にさらされてしまう危険と背中合わせの経営者は少なくないのかも知れませんし、食品を取り巻く環境で働く人達の中には、「次はオレだ!」と手ぐすねを引いている人もいるのかもしれません。

おせちもいいけど・・・で、「塩ガツオ」を解体してみました。

「塩ガツオ」は全国一の”かつお節”の名産地である西伊豆の田子(たご)漁港で古来より伝えられる加工方法により、作られる保存食で”新巻き鮭”のカツオ版のようなものです。
カツオ1本丸ごと塩漬け乾燥バージョンと言ったら伝わるでしょうか。

「塩ガツオ」ショウガツウオ、正月用・・・と語呂合わせの縁起物です。

おせちもいいけど・・・家庭ごとに味が違う韓国のキムチがそうだと認識していますが、加工所により加工方法は異なるようで、ソフトなタイプもあれば、カッチカチのバージョンも存在し、好みによってお好きなタイプを選ぶこともできるようです。
例年ならば、通販で済ませてしまいます。

オフィスに届く「塩ガツオ」はソフトタイプで、保存食だし大丈夫とはいえ到着後、ベランダで1ヶ月ほど寒風にさらして乾燥を促しますが、伊豆あたりの潮風とは違う環境の中で、素人が満足するほど私が知っている「塩ガツオ」のようなカチカチ感は再現できず、賞味期限を勝手に心配し、最後は慌てて食べまくる始末です。

おせちもいいけど・・・年末になると店内にぶらさげて年明けにお客さんに振る舞っている居酒屋「達磨」の大将に入手ルートを教わり、「たぶん通販できる」はずだったのですが、問い合わせてみると、電話口のおばあさんが「送れるよ!」とは言うものの、「代引ぃ?」「振込先ぃ?」となかなか話しが伝わらず、その後も何度か電話をかけ直してみましたが、同じおばあさんなのか、毎回話しが進まず、「清水からなら買いにくりゃイイじゃン!」と言うことで、12月の中旬の暴風の中、クルマを走らせました。

清水からなら伊豆に渡るフェリーもあるのですが、急ぐ旅でもない上に、「塩ガツオ」のために散財する余裕もなく、陸路をポコポコと行くことを選びます。

ナビのお姉さんに連れられて仰せの通りに進むのですが、途中から景色がおかしくなり、異変に気づいて知ってる道に戻ったりしている内に、結局3時間半もかかって田子の町に入りました。
資料やウワサでは、名産地らしくアチコチの家の玄関や軒下には「お飾り」をあしらった「塩ガツオ」がぶら下がってるはずなのに、道路沿いの民家は少なく、ただただ海から強烈に吹き付ける強風にアオラレながら目的地に到着します。

おせちもいいけど・・・加工所ではなく販売所である目的地はとっても小さなスーパーです。
入口から入ると隅から隅までちゃんと見通せるほどの小さなスーパーで、その昔、ウチのそばにもあったような八百屋に自動ドアがついた懐かしいニオイのするスーパーでした。
食料品のほか、日用品も売られているようなので、なかなかコンビニなんかも見つけられないこの町ではとても重要な役割を果たしているスーパーなんだと思います。
おせちもいいけど・・・鮮魚コーナーと言えるほどではありませんが、その一角に発泡スチロールにゴロゴロと入った「塩ガツオ」をすぐに見つけることができました。
いやいや、縁起物なんですから、もっとありがたいカンジで、ウソでも「塩ガツオ」コーナーを特設して、欲を言えばぶら下げて売っていて欲しかったと言うのが率直な感想ですが、「どれでも好きなのを持ってケ」的な発泡スチロールには大きめの細長いビニール袋もぶらさがっているので、「コレに入れてレジまで持って来い」と言うことなんでしょう。
丸々太ったカツオを選び、ビニール袋に入れレジまで持っていくと「アンタ、こんなの食べたら血圧上がっちゃうよ」と、親戚のおばちゃん口調で馴れ馴れしく助言してくれます。
どうやら、縁起物としてありがたいものだと思っているのは私達ばかりで、古来から受け継がれてきた製法とかイイながら、古来過ぎてこの町では案外悲しい扱われ方をしているのかも知れません。
そもそも保存食なのですから、元旦だろうが大晦日だろうが、何でも手に入る時代にわざわざ干物を食べる必要はありません。

おせちもいいけど・・・私達が知っている「おせちもいいけどカレーもね」とか言ってた時代から考えてみても、パスタだろうが牛丼だろうが正月に食べるものは溢れかえっている時代です。

「おせちつくらなきゃ!」と言っていた母の事を思い出しますが、「買ってきた方が安い」というのも母の言葉でした。
冷蔵庫があって、休まず営業する店もある時代に、古来の習慣や製法もオモシロイもの、珍しいものになっていくんでしょう。
解体した「塩ガツオ」は友人や弟たちの手に渡り、少しの身を残し骨ガツオになりました。
どれほどありがたくいただくのかは定かではありません。。。

さきほどコンビニに行ったら、「恵方巻き」の予約が始まっていました。
クリスマスケーキ、ローストチキン、おせち、恵方巻き・・・宗教を超え、忙しい国です。       



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Posted by Nori at 21:40│Comments(0)独り言
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