きせつのはるにたんぼのＴＡ

１ヶ月ほど前に届いた手紙は、車屋ケンチャンの会社からの「小さい方のクルマ」の車検のお知らせでした。

オカネのかかるハガキは基本的にインチキ勧誘ハガキか、呑み屋の何周年記念のお知らせだと、せっせとシュレッダーしてしまうはずのアンジーもさすがに、細かく切り刻む箱の中へは入れなかったようで、概算見積金額までメモしてくれていました。

「ひとりの人間にとっては小さな一歩だが、アンジーにとっては大きな一歩だ」とアームストロング船長なら言ったのかも知れません。

そんなこんなで、ラテン系のいつものアイツからカン高い声で「はるちゃ～ん、明日遊べるぅ～！」と電話がかかってきたのが昨日。
私が頭痛持ちなら電話を叩き割ってしまいそうな勢いで、「なんか持ってくからさ～ぁ」と、日程的にも明らかに「車検は当店で！」のご挨拶の流れだとわかる業務連絡を快諾しました。
「ムスコの就職はどうなったのよ？」と聞く私に、「奥が深過ぎて」と会わなきゃ話せないというフリも上手になりました。
アームストロング船長なら「ケンチャンにとっては・・・」と言うのかも知れないケンチャンは、毎日はいらないものの、時々飲みたくなるオロナミンＣくらいの効果があって、凹んだ時などには絶大な効能を発揮しますが、ケンタッキーほど食べたくなるものではありません。

今日は「トイレ貸して～！」と登場しました。
毎回登場の仕方を考えているのか、芸人で言うところの「出オチ」みたいな登場に、仕事に追われ、イラつく私も笑ってしまいます。

私が手の離せない間、アンジーが応対してくれていますが、ふたりはすぐさまゲラゲラと笑い出し、手ぶり身ぶりの講釈師の様子がチラチラ見えると、不思議と気になり、仕事の手もスピードアップします。

お客さまに必要な連絡を済ませ、一段落したところでケンチャンたちに合流すると、話しは正につい先日高校を卒業したムスコくんの就職に関わる話題でした。
スッタモンダの末、なんとか内定をもらった会社には、卒業直後の３月５日から３ヶ月間の研修に入ったようです。
店舗展開する事務用品屋さんに就職したムスコくんは、世間の入社式や入学式を前にキャンペーン中のお店に配属され、慣れない事務用品の整理や、お客さま駐車場の案内などを任されていたようです。
キャンペーン中とあって来店客も少なくなく、忙しい研修スタートとなりましたが、ケンチャンは「仕事とはそういうモンだ」とゲキを飛ばしつつ、１万円もする財布を就職祝いにプレゼントし、男親らしい応援をしてきたのだと言います。

１週間ほどして、キャンペーンも終わり、ヤレヤレと思った矢先、事態は一転します。
ムスコくんは会社の人に呼ばれ、「いつまでも正社員になれないコンなトコで働いてないで、若いんだから、もっとちゃんとしたところに就職した方がいい」と言われたそうです。

会社が一旦入社させた人間の素質を見抜くには短期間過ぎるし、例え問題行動を起こしたとしても肩を叩くのには早過ぎるカンジです。

「キャンペーン中の手伝い要員を募集してたんじゃないのか？」と聞けば、「数カ月前に内定もらったんだから。。。」と言いつつも、知人を通じた縁故関係での内定に、通知や書類も何もないのだそうです。

「働いた分だけ・・・」の、「お小遣い」よりも、「お年玉より」も多い報酬を手にした高卒直後のムスコくんにとって、騙されたとか、理不尽だとか言う思いはないようで、あくまでも前向きに就職活動を続け、市内初進出を予定している大手家電量販店の正社員募集に応募します。
面接を受けてみれば、就業時間は５時間。で、正社員への道はない。

それじゃぁ、アルバイトかパートさん並みで、親の出る幕ではないとは思いつつ、ケンチャンが動きます。

「高校生ナメてんのかぁっ！！！」

さすがに大手の上手な切り返しに、ひとり熱くなったケンチャンは丸め込まれてしまいますが、その後も就職活動を続けたムスコくんは、工場勤務となる会社の３ヶ月間の研修に入ったところです。
なぜか、作業着はズボンだけしか貸与されず、しかも１着なのだそうです。
同じ会社の社員さんはちゃんと作業着の上下が支給されているようで、研修ばかりのムスコくんをめぐり、またひと波瀾ありそうです。

アベノミクスも結構ですが、安倍さん！現場ではなんか雇用形態がヘンなコトになってますよ～っ！