きせつのはるにたんぼのＴＡ

散髪してきました。

ほぼ月に一度の定例行事ですが、私がお世話になっている床屋さんは、散髪終了後に４５日以内のシバリで次回の来店日予約をすると、料金が３０％オフになるオサイフに優しいシステムで、当然ながらほとんどのお客さまが予約をしていくために、自分が指定した日時にさえ行けば、待ち時間もなく快適に「イイコ」になることができます。

私のように１ヶ月も未来の予定が、どうなるかわからない人でも、万一予約日に都合が悪くなった場合は、あらかじめ連絡して日程変更してもらえば、３０％オフは有効で、ポイントカードに予約日が記載されていたり、１週間ほど前には「○月△日のご来店をお待ちしております」と親切なハガキも届くので、１度行ったらアシヌケできないガンジガラメの便利な拘束システムとなっております。

私よりも若いご夫婦が経営していて、更に若いスタッフが数名常駐していますから、テキパキと時間通りに始まり、時間通りに終わるのも、忙しい皆さんには頼もしいシステムと言えます。
私が草薙のマンションに引越した頃からのおつき合いで、もう１０年ほどになろうかと思います。
その間には、年末年始や周年記念の粗品に加え、スタッフの名刺なんかのお仕事もいただき、オーナーくんとはたま～に呑みに行く「呑み友」でもあります。
様々な職種のお客さまが来店されますから、お客さまをご紹介いただくこともあり、なにかとゴヒイキにしていただいております。
本日お邪魔すると、見慣れない女性スタッフが居ました。
以前、昼と夜ではスタッフの顔ぶれが違うような話しを聞いたことがあるので、先方のシフトの都合なんでしょう。

世の女性の皆さんが、青山あたりの高級美容院で、カリスマ美容師を指名するようなシステムはなく、割とオーナーくんやオクサマが担当してくれますが、混み具合に応じて、スタッフくんたちが私のカラダの一部に触れることもあります。
アタマの洗い方も、ヒゲのそり方も十人十色で、それぞれ技術や経験のすべてを出し切って取り組んでくれているはずですが、どの世界にもあるように慣れ親しんだ触り具合や相性みたいなものもあるんだと思います。

本日私のアタマを洗ってくれたのは、見慣れない女性スタッフで、ウチのムスメ１号と似たり寄ったりの年頃に見えました。
ここの床屋さんはアタマを洗う時に、前かがみではなく、マッサージチェアーのように背もたれが倒れ、天井を向いた状態で洗ってくれます。
お互いのために顔にはタオルが掛けられていますので、まわりの様子もわからず、聴覚だけが敏感になり、想像の世界に突入します。
私のまわりを行き交う足音や、隣の会話、シャワーの音に、切れ味の良さそうなハサミの音、そしてＢＧＭ。。。
シャワーの温度が整い、心地よいお湯がアタマにかかると、「お湯加減はいかかがですか？」と、耳もとで聞いてくれました。
私が耳の遠い年配者に見えたのか、それとも彼女の耳の調子がよくないのか、久々に耳もとで囁く女性の声がヘンタイオヤジの心をくすぐります。

「首は苦しくないですかぁ？」

「苦しい首なら切っちまう！」

シャワーを止め、再開する度に「お湯加減はいかかがですか？」と、耳もとに口を寄せながら彼女が来てくれるのが楽しみになりました。
「かゆいところはありますか？」
そろそろそんな最後の会話が近づいてくると、シャワーが止まり、彼女は私のビンビンに濡れまくったアタマを拭きながら「椅子、起こしますねぇ」といつもながらの遠い距離感で、椅子を起こしました。
「かゆいトコ・・・・は？」、聞いてくれませんでした。

もし聞かれて「右のツムジの左側」などと答えたこともありませんが、耳もとの快楽を楽しみにしていた私にとって、茶わん蒸しの底にギンナンが入っていなかった時のような残念感は、「今週の残念だったことトップ３」にランクインしました。

その後のナンでもないオーナーくんとのやり取りで、かろうじて自分を取り戻しましたが、カットし終わったアトのアタマはいつものように、いつも通りの距離感でオクサマがキレイさっぱりスッキリ洗い流してくれました。


あくまでも個人の感想で、決してお店が強要している特殊なサービスではないはずですし、文章中の会話は鼻にかかったセクシーなカンジではありませんので、ご注意ください。

来月の予約を入れ、会社に戻りました。

自分が美容院に行ったアトは、「なんで気がつかないの？」「誉めるとか、反応するのがオトコじゃないの！？」と、乙女みたいなことを言うアンジーは、私が髪を切ってきたことを３日も気づいていません。

こんなに「イイコ」になってきたんですけどねぇ。。。