2013年10月10日
収穫がてらの旅4
「花ふぶき」を出ると、マスターが言うように満天の星空を見ることができました。
一面畑だらけのこの町で、空を邪魔するものが一切ないことに改めて気づかされます。
プラネタリウムのような夜空。
一つ一つの星が大きく、清水あたりなら瞬くように見えるであろう星たちは、しっかりとその存在感を圧倒的な明るさで主張しているようにも見えます。
国立天文台である「宇宙・太陽電波観測所」は「花ふぶき」からクルマで5分ほどですが、大きなパラボラアンテナを天空に向けて「宇宙から降り注ぐ ナニか」を観測するのには絶好の場所なんでしょうから、私はまさに今、星空を最も美しく見ることができる場所にいるんでしょう。
18時過ぎともなると、ガソリンスタンドも飲食店ですら閉店し、街灯も少ないこの町で、常々不便に感じる暗闇感も「こういう理由だったのか」と思えれば、なるほど夜空を楽しむ文化の根付いた町なのかとまたチョット好きになります。
林を抜け、空が広がるたびに見上げることなく自然と視界に入ってくる星空に感動し、星明りでウッスラと浮かび上がった八ヶ岳もしっかりと目視する ことができる夜です。
目指す常宿は、八ヶ岳の中腹。
さらに星との近い距離を楽しみに、車窓から吹き込む冷たい風も最高です。
唐松林の上り坂を登りきれば常宿です。
暗がりの中に浮かぶエントランスには人影もなく、森の中の1軒屋はいつものようにやさしく迎えてくれます。
リュックひとつを肩にかけ、駐車場から空を見上げてみると、さすがに週末のホテル。
少しばかりの街灯が邪魔をして、さっきのような星空ではありませんでした。
「そりゃそぉか。。。」
部屋に荷物を置き、バーへ。
暖炉の薪がパチパチとはじける音は、この店のBGMです。
このバーはシーズンに関わらず、敷地内にある別荘の皆さんの憩いの場となっていて、私もビジターながらたくさんのお友達ができました。
私が好きだと言えば、自分ではとても買えないようなジャスミンティーを送っていただいたり、知らない間に仲間に入れてもらい、「明日もパーティー だ」と、連泊しなければならなくなったことも思い出です。
ムスメ2号と仲良しの車椅子のユカさんともこの場所で知り合いましたし、手品好きのアサカちゃんも高校を卒業した頃なのかもしれません。小学校の 頃に出会ったアサカちゃんは何度か清水にも遊びに来てくれて、最後に会ったときにはずいぶんオネエサンになっていて驚きました。
いろんな思い出がよみがえるバーは、今夜は静かでした。
私が来ることを知っていたはずのバーテンがまさかの欠勤で、「ヤツのテイタラク振りを肴に呑むか!?」と、相棒のカクテルチャンピオン(ジャニー ズシニアの一員です)に、新酒「ドコまでもクズ」を発注します。
氷に邪魔されてグラスの底のサクランボが出てこれない斬新なカクテルは、さすがにカクテルチャンピオンです。
豚さんのセクシーレッグを、できるだけ薄~く刻むチャンピオンに、「ココのホテルの空、損してる」ことを経緯と共に伝えると、「街灯か!」とピン ときたチャンピオンは、テニスコートのトコなら街灯が1本しかないことを教えてくれます。
「それなら!」と、スマホもタバコもみんなそのまま置いて「ちょっくら行って来るわ!」とテニスコートに向かいます。
暗すぎる遊歩道につまづきながらテニスコートにたどり着くと、既にベンチには一組のカップルが夜空の下でシッポリしてやがりました。
ズカズカと足音を立てながら仰いだ夜空には、それは見事な星たちが輝いています。
肌寒さを実感しますが、あったかな気持ちになります。
どのくらい居たでしょうか。
ホテルに戻る途中で、施設の管理をしている作業員の方が「星がキレイですね」と声をかけてくれました。
テニスコートで見てきたことを話し、やはり下界で見るほうが街灯に邪魔されないことを伝えると、とっておきの暗がりを教えてくれるも、酔った私が 行けば遭難しそうな場所。
「それなら・・・、一緒に来てください」
連れて行かれたのはホテルのエントランスでした。
「いや、ココには街灯が・・・」
「チョット待っててください」
そう言って私の前からオジさんが消えると、直後にエントランスの街灯のすべてが消えました。
戻ってきたオジさんが、「これならサイコーです」と、笑います。
夜空を見に来た周囲の人からも歓声が上がり、見事な星空が現れます。
「星を邪魔するようにうっすらかかった雲が残念ですね」
一緒に見上げていたオジさんは「天の川ですよ」と静かに答えます。
沈黙の時間が流れ、それはもぉ、すごく感動しました。
「天の川って、肉眼で見えちゃってイイんですか?」
「・・・そぉいう場所です。。。」
私はこのホテルが大好きです。
バーに戻り、今度はチャンピオンに「どぐされブルー」を発注しました。
・・・最終話につづく
一面畑だらけのこの町で、空を邪魔するものが一切ないことに改めて気づかされます。
プラネタリウムのような夜空。
一つ一つの星が大きく、清水あたりなら瞬くように見えるであろう星たちは、しっかりとその存在感を圧倒的な明るさで主張しているようにも見えます。
国立天文台である「宇宙・太陽電波観測所」は「花ふぶき」からクルマで5分ほどですが、大きなパラボラアンテナを天空に向けて「宇宙から降り注ぐ ナニか」を観測するのには絶好の場所なんでしょうから、私はまさに今、星空を最も美しく見ることができる場所にいるんでしょう。
18時過ぎともなると、ガソリンスタンドも飲食店ですら閉店し、街灯も少ないこの町で、常々不便に感じる暗闇感も「こういう理由だったのか」と思えれば、なるほど夜空を楽しむ文化の根付いた町なのかとまたチョット好きになります。
林を抜け、空が広がるたびに見上げることなく自然と視界に入ってくる星空に感動し、星明りでウッスラと浮かび上がった八ヶ岳もしっかりと目視する ことができる夜です。
目指す常宿は、八ヶ岳の中腹。
さらに星との近い距離を楽しみに、車窓から吹き込む冷たい風も最高です。
唐松林の上り坂を登りきれば常宿です。
暗がりの中に浮かぶエントランスには人影もなく、森の中の1軒屋はいつものようにやさしく迎えてくれます。
リュックひとつを肩にかけ、駐車場から空を見上げてみると、さすがに週末のホテル。
少しばかりの街灯が邪魔をして、さっきのような星空ではありませんでした。
「そりゃそぉか。。。」
部屋に荷物を置き、バーへ。
暖炉の薪がパチパチとはじける音は、この店のBGMです。
このバーはシーズンに関わらず、敷地内にある別荘の皆さんの憩いの場となっていて、私もビジターながらたくさんのお友達ができました。
私が好きだと言えば、自分ではとても買えないようなジャスミンティーを送っていただいたり、知らない間に仲間に入れてもらい、「明日もパーティー だ」と、連泊しなければならなくなったことも思い出です。
ムスメ2号と仲良しの車椅子のユカさんともこの場所で知り合いましたし、手品好きのアサカちゃんも高校を卒業した頃なのかもしれません。小学校の 頃に出会ったアサカちゃんは何度か清水にも遊びに来てくれて、最後に会ったときにはずいぶんオネエサンになっていて驚きました。
いろんな思い出がよみがえるバーは、今夜は静かでした。
私が来ることを知っていたはずのバーテンがまさかの欠勤で、「ヤツのテイタラク振りを肴に呑むか!?」と、相棒のカクテルチャンピオン(ジャニー ズシニアの一員です)に、新酒「ドコまでもクズ」を発注します。
氷に邪魔されてグラスの底のサクランボが出てこれない斬新なカクテルは、さすがにカクテルチャンピオンです。
豚さんのセクシーレッグを、できるだけ薄~く刻むチャンピオンに、「ココのホテルの空、損してる」ことを経緯と共に伝えると、「街灯か!」とピン ときたチャンピオンは、テニスコートのトコなら街灯が1本しかないことを教えてくれます。
「それなら!」と、スマホもタバコもみんなそのまま置いて「ちょっくら行って来るわ!」とテニスコートに向かいます。
暗すぎる遊歩道につまづきながらテニスコートにたどり着くと、既にベンチには一組のカップルが夜空の下でシッポリしてやがりました。
ズカズカと足音を立てながら仰いだ夜空には、それは見事な星たちが輝いています。
肌寒さを実感しますが、あったかな気持ちになります。
どのくらい居たでしょうか。
ホテルに戻る途中で、施設の管理をしている作業員の方が「星がキレイですね」と声をかけてくれました。
テニスコートで見てきたことを話し、やはり下界で見るほうが街灯に邪魔されないことを伝えると、とっておきの暗がりを教えてくれるも、酔った私が 行けば遭難しそうな場所。
「それなら・・・、一緒に来てください」
連れて行かれたのはホテルのエントランスでした。
「いや、ココには街灯が・・・」
「チョット待っててください」
そう言って私の前からオジさんが消えると、直後にエントランスの街灯のすべてが消えました。
戻ってきたオジさんが、「これならサイコーです」と、笑います。
夜空を見に来た周囲の人からも歓声が上がり、見事な星空が現れます。
「星を邪魔するようにうっすらかかった雲が残念ですね」
一緒に見上げていたオジさんは「天の川ですよ」と静かに答えます。
沈黙の時間が流れ、それはもぉ、すごく感動しました。
「天の川って、肉眼で見えちゃってイイんですか?」
「・・・そぉいう場所です。。。」
私はこのホテルが大好きです。
バーに戻り、今度はチャンピオンに「どぐされブルー」を発注しました。
・・・最終話につづく
Posted by Nori at 08:07│Comments(0)
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