2013年10月09日
収穫がてらの旅3
オイシイ食事と、オイシイ空気、充実した時間に満たされ、足をカボチャの収穫地となる野辺山に向けたのですが、小淵沢のアウトレットで働く古い知 人を思い出し、少しだけ寄り道をしていくことにしました。
軽井沢や御殿場ほどの広さはないものの、標高1000メートルの場所に位置するこじんまりとした施設ながら、八ヶ岳らしいと言えば八ヶ岳らしく、 ガツガツしていない素朴なカンジのアウトレットです。
私の知人は、私が八ヶ岳を訪れ始めた頃に知り合い、輸入服を取り扱うショップの店長を任されている人です。
その敏腕振りから、アウトレット内にもかかわらず店舗を次々と増やすツワモノで、美人であることもさることながら、物腰の柔らかい人当たりも決して商売商売していなくて、気さくなお人柄に私もリピーターになった次第です。
季節ごとに、店とは関係のない文面でご挨拶状が届けば、ふらりと足を運んだこともありますが、いつ訪れるかわからない私に「はるちゃんに似合うと 思って取っておいたのぉ♥」と、まんまと手に乗せられ、着るかどうかもわからない洋服がクローゼットに積み上げられることになります。
気配りの行き届く繊細さからなのか、熱心に仕事に取り組むあまりの過労からなのか、健康状態に不安を抱えていた時期もありましたが、その後のお便りで元気に仕事をしていることを知った後は、そういえばお手紙も届いていないような。。。
久しぶりの再会に期待を膨らませ、週末なのに空いている駐車場にあっさりクルマを停め、彼女の店に入りますが姿は見えません。
見覚えのない店員さんが退社されたことを教えてくれますが、連絡手段のない彼女の健康を願うばかりです。
彼女がいないのであれば寂しい財布をムリヤリ開ける必要もなく、30分ほどで1周できてしまう施設内を一回りし、軽井沢や御殿場はさぞハロウィンモード一色であろうアウトレットを想像しながら、控えめなハロウィンを演出している懐かしい場所をアトにしました。
野辺山に向かう道中は木漏れ日に溢れ、放牧された牛や羊が広大な牧場で草を食む姿にゆっくりと流れる時間を感じます。
清里を抜け、野辺山に着いたのは5時近く。
居酒屋にとって,もっとも微妙な時間に到着してしまったことを謝りつつ、「花ふぶき」に入っていくと「じゃぁ、採っちゃうか!」と忙しい時間にもか かわらず、マスターの片手にはカマが握られています。
隣接する畑に向かいながら「今年は大きくならなかった。。。」と、落胆の色を隠しませんが、そもそも言い出しておきながらマスターに任せっきりの 私に文句のカケラなどあるはずもありません。
全部で18個。30センチほどに育ったオレンジ色のカボチャを車に乗せると「さて、どーすっか。。。?」と悩みます。
チェックインするためだけの常宿に行ったところで、そのままココにとんぼ返りするわけで、行って帰って1時間の時間がどうにも無駄に思えます。
時刻は5時半。呑むにはちょっと早い。。。
「呑っちゃいますか?」
「呑っちゃいましょう!」
背中を押されれば、断る理由はありません。
居酒屋「花ふぶき」では、前もってわかってさえいれば送迎も、代行サービスも無料です。ただし、お店のお手すきの時間に限られるので、こちらの思う時間に実現するかどうかは運次第です。どうしても手が空かなければ、野辺山に1軒?のタクシー会社の社長さんも厚意にしてくれているので、バックアップも万全です。
「花ふぶきに軟禁されてるからチェックインが遅れる」と勝手のわかった常宿に連絡すると、「こちらのバーも準備しておきますのでごゆっくり」と、 話が進めば、積もり積もったマスターとの話にも花が咲きます。
カボチャの育ちが悪い事、別荘族が減っている事、きのこが豊作な事・・・。
1ヶ月にドラム缶で1本以上も消費する灯油が原油の高騰でかなわないと言う店内には、家庭用ストーブの比ではない大型の暖炉が稼動していて「これがないと命が危ないし・・・」と、寒冷地ならではの話題にも驚かされます。
マスターには何度か「きのこ狩り」にお誘いいただき、内緒のマツタケ山を攻めたこともあります。
いくつもの山を登っては降り、秘密の場所を目指しますが、未だその勇姿にお目にかかったことはなく、ジゴボとかヒラタケとかいうきのこを持ち帰り、マスターの味付けでお茶を濁してきましたが、今年はマツタケが出まくっちゃってると、イヤラシイ顔でニヤつきます。
「食べてみますか?」とお出ましになった私と同サイズほどのマツタケは(小さめではない)正真正銘純天然、少し白っぽく見える姿はまだ新しいからだと言います。
なんでも、販売されているマツタケの多くは、傘が開いちゃっているので、水分が飛んじゃっているんだそうで、傘の開きかかったこのタイプがミズミズしくてウマイのだそうです。
さすがに永谷園の香り高さには負けていますが、なるほど奥深い香りがします。
大胆に丸々1本をスライスし、炭火の焼き台に乗せるとたちまちヤツが例の香りを放ちます。
過日の「1000円すき焼き」の店ならいくら取られるかと不安もよぎりますが、覚悟を決め待機します。
私はこの店では決まって「地鶏の黒コショウ焼き」と、ナンコツたっぷりの「つくね」を頼むことにしていているのですが、なにしろデカい。「小さめ」「少なめ」でお願いするも、「それじゃぁ、元気が出ない」「少なめがわからない」という理由で、農家の皆さんが喜ぶのと同じ量で、既に罰ゲームみたいになってるのに、ランチにで かい鶏を食べてきたことを思い出せば、マツタケをおいしくいただけるかどうかも不安です。
山の中の居酒屋ながら鮮魚もおいしいのですが、それは清水で食べればいいし、何より食べ切れません。
サラダでもナンでも、とにかくすべてがビッグサイズです。
「はるさん、カモ欲しい?」
「カモ?」
「鴨鍋のカモ、カモネギのカモ」
「ナマ?」
「ナマもナマ!生きてる」
なんでも、農業の勉強に来ている中国人たちの食用として養殖?している人がいるらしいのですが、増えすぎてしまってエサ代がバカにならず困ってい るそうで、「マスターのトコならお客さんにも喜んでもらえるだろ?」と言うことでお裾分けだとか。
大根や、桃のお裾分けなら聞いたことも体験したこともありますが、「どこに生きた鳥のお裾分けを食べる目的でもらう人がいるんだ?」と言えば、目を点にしながら真顔で、「牛や豚なら困るだろうけど、鳥だよ」と、「桃だよ」みたいに言います。
「生きてるカモもらってどぉすんの?」
「食べるデショ。おとなしいから首にヒモつけて散歩もできるし、飼ってもかわいいし、飛ばないし、おいしいし。。。」
以前、「ウコッケイやるよ」と言った大先輩もいましたが、世の中には食生活に困っているわけでもないのに、動物と共存して卵を採ったり、羽根むしって食べちゃう人がいることは事実のようです。
「5羽じゃ、足りないか?10羽くらいなら何とかなるよ」
「いやいや、ベランダでクワックワ言われてても困るし、そもそも触れないし。。。」
香り高きマツタケが焼きあがり、添えてもらった大根おろしをつけることなく醤油をチビチビかけながら贅沢にいただきました。確かにミズミズしく、 まだまだ未知の世界があるもんだと大満足です。
「明日、カモつぶすけど、持ってくなら取りにおいでよ」
「カモはいらないけど、見に来るよ」
いつまでも言ってるマスターは、なぜか残念そうですが、クルマの中でクワックワ鳴いてるカモを同乗させる事を想像しただけで鳥肌が立ちます。
お勘定にはマツタケは含まれていませんでした。
クルマに積みきれないほどの採れたて新鮮野菜をくれたり、いつもながら感謝です。
「はるさん、今夜は星がキレイだよ。昨日、今日は特にキレイで、こんな星空をあんまり見たことないよ」
帰り際の会話もステキです。
何から何まで言うことのない一日を終え、常宿に向かいました。
・・・つづく
軽井沢や御殿場ほどの広さはないものの、標高1000メートルの場所に位置するこじんまりとした施設ながら、八ヶ岳らしいと言えば八ヶ岳らしく、 ガツガツしていない素朴なカンジのアウトレットです。
私の知人は、私が八ヶ岳を訪れ始めた頃に知り合い、輸入服を取り扱うショップの店長を任されている人です。
その敏腕振りから、アウトレット内にもかかわらず店舗を次々と増やすツワモノで、美人であることもさることながら、物腰の柔らかい人当たりも決して商売商売していなくて、気さくなお人柄に私もリピーターになった次第です。
季節ごとに、店とは関係のない文面でご挨拶状が届けば、ふらりと足を運んだこともありますが、いつ訪れるかわからない私に「はるちゃんに似合うと 思って取っておいたのぉ♥」と、まんまと手に乗せられ、着るかどうかもわからない洋服がクローゼットに積み上げられることになります。
気配りの行き届く繊細さからなのか、熱心に仕事に取り組むあまりの過労からなのか、健康状態に不安を抱えていた時期もありましたが、その後のお便りで元気に仕事をしていることを知った後は、そういえばお手紙も届いていないような。。。
久しぶりの再会に期待を膨らませ、週末なのに空いている駐車場にあっさりクルマを停め、彼女の店に入りますが姿は見えません。
見覚えのない店員さんが退社されたことを教えてくれますが、連絡手段のない彼女の健康を願うばかりです。
彼女がいないのであれば寂しい財布をムリヤリ開ける必要もなく、30分ほどで1周できてしまう施設内を一回りし、軽井沢や御殿場はさぞハロウィンモード一色であろうアウトレットを想像しながら、控えめなハロウィンを演出している懐かしい場所をアトにしました。
野辺山に向かう道中は木漏れ日に溢れ、放牧された牛や羊が広大な牧場で草を食む姿にゆっくりと流れる時間を感じます。
清里を抜け、野辺山に着いたのは5時近く。
居酒屋にとって,もっとも微妙な時間に到着してしまったことを謝りつつ、「花ふぶき」に入っていくと「じゃぁ、採っちゃうか!」と忙しい時間にもか かわらず、マスターの片手にはカマが握られています。
隣接する畑に向かいながら「今年は大きくならなかった。。。」と、落胆の色を隠しませんが、そもそも言い出しておきながらマスターに任せっきりの 私に文句のカケラなどあるはずもありません。
全部で18個。30センチほどに育ったオレンジ色のカボチャを車に乗せると「さて、どーすっか。。。?」と悩みます。
チェックインするためだけの常宿に行ったところで、そのままココにとんぼ返りするわけで、行って帰って1時間の時間がどうにも無駄に思えます。
時刻は5時半。呑むにはちょっと早い。。。
「呑っちゃいますか?」
「呑っちゃいましょう!」
背中を押されれば、断る理由はありません。
居酒屋「花ふぶき」では、前もってわかってさえいれば送迎も、代行サービスも無料です。ただし、お店のお手すきの時間に限られるので、こちらの思う時間に実現するかどうかは運次第です。どうしても手が空かなければ、野辺山に1軒?のタクシー会社の社長さんも厚意にしてくれているので、バックアップも万全です。
「花ふぶきに軟禁されてるからチェックインが遅れる」と勝手のわかった常宿に連絡すると、「こちらのバーも準備しておきますのでごゆっくり」と、 話が進めば、積もり積もったマスターとの話にも花が咲きます。
カボチャの育ちが悪い事、別荘族が減っている事、きのこが豊作な事・・・。
1ヶ月にドラム缶で1本以上も消費する灯油が原油の高騰でかなわないと言う店内には、家庭用ストーブの比ではない大型の暖炉が稼動していて「これがないと命が危ないし・・・」と、寒冷地ならではの話題にも驚かされます。
マスターには何度か「きのこ狩り」にお誘いいただき、内緒のマツタケ山を攻めたこともあります。
いくつもの山を登っては降り、秘密の場所を目指しますが、未だその勇姿にお目にかかったことはなく、ジゴボとかヒラタケとかいうきのこを持ち帰り、マスターの味付けでお茶を濁してきましたが、今年はマツタケが出まくっちゃってると、イヤラシイ顔でニヤつきます。
「食べてみますか?」とお出ましになった私と同サイズほどのマツタケは(小さめではない)正真正銘純天然、少し白っぽく見える姿はまだ新しいからだと言います。
なんでも、販売されているマツタケの多くは、傘が開いちゃっているので、水分が飛んじゃっているんだそうで、傘の開きかかったこのタイプがミズミズしくてウマイのだそうです。
さすがに永谷園の香り高さには負けていますが、なるほど奥深い香りがします。
大胆に丸々1本をスライスし、炭火の焼き台に乗せるとたちまちヤツが例の香りを放ちます。
過日の「1000円すき焼き」の店ならいくら取られるかと不安もよぎりますが、覚悟を決め待機します。
私はこの店では決まって「地鶏の黒コショウ焼き」と、ナンコツたっぷりの「つくね」を頼むことにしていているのですが、なにしろデカい。「小さめ」「少なめ」でお願いするも、「それじゃぁ、元気が出ない」「少なめがわからない」という理由で、農家の皆さんが喜ぶのと同じ量で、既に罰ゲームみたいになってるのに、ランチにで かい鶏を食べてきたことを思い出せば、マツタケをおいしくいただけるかどうかも不安です。
山の中の居酒屋ながら鮮魚もおいしいのですが、それは清水で食べればいいし、何より食べ切れません。
サラダでもナンでも、とにかくすべてがビッグサイズです。
「はるさん、カモ欲しい?」
「カモ?」
「鴨鍋のカモ、カモネギのカモ」
「ナマ?」
「ナマもナマ!生きてる」
なんでも、農業の勉強に来ている中国人たちの食用として養殖?している人がいるらしいのですが、増えすぎてしまってエサ代がバカにならず困ってい るそうで、「マスターのトコならお客さんにも喜んでもらえるだろ?」と言うことでお裾分けだとか。
大根や、桃のお裾分けなら聞いたことも体験したこともありますが、「どこに生きた鳥のお裾分けを食べる目的でもらう人がいるんだ?」と言えば、目を点にしながら真顔で、「牛や豚なら困るだろうけど、鳥だよ」と、「桃だよ」みたいに言います。
「生きてるカモもらってどぉすんの?」
「食べるデショ。おとなしいから首にヒモつけて散歩もできるし、飼ってもかわいいし、飛ばないし、おいしいし。。。」
以前、「ウコッケイやるよ」と言った大先輩もいましたが、世の中には食生活に困っているわけでもないのに、動物と共存して卵を採ったり、羽根むしって食べちゃう人がいることは事実のようです。
「5羽じゃ、足りないか?10羽くらいなら何とかなるよ」
「いやいや、ベランダでクワックワ言われてても困るし、そもそも触れないし。。。」
香り高きマツタケが焼きあがり、添えてもらった大根おろしをつけることなく醤油をチビチビかけながら贅沢にいただきました。確かにミズミズしく、 まだまだ未知の世界があるもんだと大満足です。
「明日、カモつぶすけど、持ってくなら取りにおいでよ」
「カモはいらないけど、見に来るよ」
いつまでも言ってるマスターは、なぜか残念そうですが、クルマの中でクワックワ鳴いてるカモを同乗させる事を想像しただけで鳥肌が立ちます。
お勘定にはマツタケは含まれていませんでした。
クルマに積みきれないほどの採れたて新鮮野菜をくれたり、いつもながら感謝です。
「はるさん、今夜は星がキレイだよ。昨日、今日は特にキレイで、こんな星空をあんまり見たことないよ」
帰り際の会話もステキです。
何から何まで言うことのない一日を終え、常宿に向かいました。
・・・つづく
Posted by Nori at 08:43│Comments(0)
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