2013年09月07日
ナンにもない贅沢

お客さまの所在地は、サラリーマン時代に通い慣れた沿道にあるのですが、今回のお仕事をいただき通っているウチに当時の思い出が懐かしく蘇り、お客様を訪ねたついでに安倍川上流を目指してみることにしました。
静岡県の地図で言えば真ん中あたりの上の方で、目指す「梅ヶ島(うめがしま)」は山梨県との県境に位置します。

雨上がりの山々はキラキラと輝き、山の向こうに見える山の姿の更に向こうにも山が見え、重なり合う山々のコントラストが本当にキレイな一本道です。
昔と変わらない集落や売店を通り過ぎながら、集落がまばらになり始めた頃には、安倍川沿いを走るクルマは数台となり、窓を開けてみると、今度こそ爽やかな風が入ってきます。
沿道で売られるアユやヤマメの塩焼きを横目に見ながら、そぉいえばヤマメ料理を食わしてくれる食堂があることを思い出しました。
まだまだ元気に鳴き続けるセミの声を久しぶりに聞きながら、私のオナカも鳴き始めます。

この食堂では、釣り堀で釣ったヤマメを塩焼きにして食べることもでき、合宿中なのか大学生らしき同じTシャツを着た団体であることがだんだんはっきりしてきます。
到着し、食堂を覗き込むとお客さんの姿は見えず、「食事できますかぁ」と店の奥に向かって声をかけてみます。

エアコンは設置されていますが、窓は開放され、扇風機も回っていない食堂にはキモチのいい風が通り抜け、窓の外で釣りをしている子ども達の声も聞こえてきます。
「塩焼きをいただきたいのですが。。。」
「あらぁ、困ったねぇ。。。今は塩焼きはないのよぉ。。。」
と、壁を指差しながら何枚かぶら下がったメニューだけだと言います。

ヤマメの蒲焼きに、手作り感満載のコンニャクの刺身。
そしてナスとタマネギがこれでもかって入っている味噌汁が並べば、レストランで食べるような彩りはないものの、私はコッチの方が好きです。
味噌汁のザックリ感は亡き母の味を思い出させるようなオイシさでした。

「塩焼きが食べたいなら、ソコで釣りをすりゃいい」と、教えてくれますが、時間に限りのあるブラリ旅であることを思い出し、「次の時にするよ」と店を出ます。
それでも釣り堀に足を向け、池の中を覗き込むと、なるほどヤマメたちが釣られるのを待っているのが見えます。

ヤマメの口元に狙いを定め、エサを落とすのに食い付かない。それはそれでゲームとして成立しているのかも知れません。
その奥のため池では子ども達が「ヤマメのつかみ採り」に挑戦してました。

いくつものコンロにはどう見ても人数より多いヤマメが並べられ、「食いきれるのか?」と聞けば、「全然楽勝ッス!」と男子学生を押し退けて、顔より大きなヤマメを頬張りながら女子大生が答えます。
このコたちにかかれば、つかみ採りのヤマメも潔く降参したんでしょう。

クルマを降りて背伸びをして、ホンノリ香る硫黄のニオイを吸い込んだら、枝道に入り、山梨県身延町へ続く峠を目指します。元々地盤が弱いと言われる「梅ヶ島」ですが、聞き及ぶ通りアチコチで山が崩れていて、補修中と思われる工事現場がいくつもありました。
「鹿注意!」が「熊注意!」に変わる頃、最初の頂上付近で通行止めとなり、引き返しますが、見下ろす山々の絶景に息を呑みます。
来た道を帰りながら、きっと名前がついているんであろう滝で休憩し、マイナスイオンを存分に浴び、帰路に着きます。

住人の皆さんが川向こうとの往来に生活道として利用しているであろう吊り橋を無視することはできず、人が居ないのを確認してチャレンジしてみたくなる大人はお嫌いですか?
「ふたり以上で渡るな!絶対揺らすな!」と書いてあれば、なぜそう書いてあるのかを確認したくなる大人もお嫌いですか?
ところどころ割れた足元の板を慎重に踏み締めながら根性試しとシャレこみますが、なるほど揺らさなくてもかなりの揺れに、タマもオナカの中に隠れます。
最高にコワそうな吊り橋を経験すれば、次にチャレンジする吊り橋はワイヤーも太く、手入れされている様子が伺えれば、フワフワする道路を歩いてるに過ぎなく、もっと最強を欲しがる大人です。

やっぱり私にはこういう時間が必要なんだということが痛いほどわかった一日でした。
イタズラがタタリ、今日はふくらはぎがパンパンで筋肉痛です。
Posted by Nori at 13:16│Comments(0)
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