2015年01月03日

愚かであること

愚かであることお年賀を持って「彼」が来てくれました。
私ごときにお気遣いいただきありがたい限りですが、思いがけないご訪問にこちらは何も用意していないわけで、残りわずかとなった「塩ガツオ」の切れ端をお父様の「酒の肴」にもらってもらいました。
本人の資質なのか、ご両親のご教育の賜物なのか、節目のごあいさつを心掛ける若者の姿勢には感心します。見習わなければ・・・。
「彼」は、いわゆるムスメ1号の「彼」なわけで、私も気づかない内に緊張感ゼロの関係がいつの間にか成立しているようで、今さら昭和のガンコオヤジを演じることもできず成りゆきを見守る方向です。やってみてぇ~・・・ガンコオヤジ・・・

愚かであること私は彼らの歳には結婚を決め、その段取り中だったか、もしかしたら結婚してたかも知れません。
となると、私達が当時していたようなことはすべて許諾の範囲内ということになりますが、この歳になってその現実に直面した時、大人になったとはいえ、まだまだ子どもに見えるムスメの事を思うと、その心境は複雑です。
すでに奇しくもおじいちゃんとなってしまった同級生は、孫の写真をフェイスブックのプロフィール写真にしたり、(ぁ、フェイスブックは退会手続きが完了しました)持ち歩いたりして目尻も下がり気味なのを見るとドン引きですが、いざナマのお孫さんと対面させられれば、ソリャうらやましいキモチがないわけでもありません。

愚かであること無理矢理封印してきた我が身の新婚生活を思い起こせば、それまで独り暮らしはおろか、同棲生活などしたこともない私の家に、朝から誰かがいるわけで、2世帯住宅とはいえ、両親とは独立した空間で、マナ板がトントン鳴ったり、私ではない人間がトイレを使ったり、風呂で鼻歌を歌ったり・・・
目が覚めて窓をあければ、洗濯物がベランダに干されている光景は、心地いいと言うよりはなんだか不思議の連続に感じていたことを思い出します。
そのベランダには、いつからかプランターに植えられた花があったりすると、たまには水掛けをしたりもしたような気がします。

愚かであること世で言う「嫁姑」のイザコザに、嫁の背中が揺れていればスクランブル発進し、母に核ミサイルを何発も打ち込んだりもしました。
おかげで「嫁姑」間の深い溝が深まれば、嫁は私に真実を打ち明けることを避け、自らが強くなる工夫を始めたような気もします。
20代半ばの私は、まだまだ血の気も多く、いろんな解決方法を見い出すことができませんでしたから、和解よりも鎖国を正しいことだと思っていましたし、いきなり姑風を吹かしたり、ムスメ1号が生まれてからは、押し付けるように経験を伝達する母のやり方には「イマドキなんだから!」と、ほ乳ビンを煮沸消毒することなく、漬け置き洗いの「ミルトン」を使ったり、「布がイイのよ」と言う母に抵抗して紙オムツもゲリラ的に使ってきました。
愚かであること経済的にも決して潤沢ではありませんでしたが、私の飲み代もクルマの頭金もどうやったのか、それなりに不自由な暮らしを感じることはありませんでした。
それでももちろん、二つ返事などあり得るはずもなく、必死の説得があったことは隠しませんが、何となく実現する方向は少なくなかったんだと思います。

今の若者たちは、私達が暮らしてきた時代とは景気に始まる社会情勢も価値観も違う中、なかなか結婚に踏み切れない人達や、結婚は現実的ではないと考える人達もいるようです。
実際、「結婚てナニ?」なんて聞かれれば、若者を説得できる自信はありません。
愛や恋の延長線・・・
鼻で笑われてしまうのかも知れません。

愚かであること少し前に見たテレビで、「日常を切り取る天才」といわれる「吉野弘」という詩人の生涯を紹介していました。
本日のブログの落としどころが見当たりませんので、氏の詩を紹介させていただきます。
「吉野弘」氏は著作権に関して独特の見解を持っていらっしゃるようなので、それに甘え、全文掲載します。

【祝 婚 歌】
二人が睦まじくいるためには
愚かでいるほうがいい
立派すぎないほうがいい
立派すぎることは
長持ちしないことだと気付いているほうがいい
完璧をめざさないほうがいい
完璧なんて不自然なことだと
うそぶいているほうがいい
二人のうちどちらかが
ふざけているほうがいい愚かであること
ずっこけているほうがいい
互いに非難することがあっても
非難できる資格が自分にあったかどうか
あとで
疑わしくなるほうがいい
正しいことを言うときは
少しひかえめにするほうがいい
正しいことを言うときは
相手を傷つけやすいものだと
気付いているほうがいい
立派でありたいとか
正しくありたいとかいう
無理な緊張には
色目を使わず
愚かであることゆったり ゆたかに
光を浴びているほうがいい
健康で 風に吹かれながら
生きていることのなつかしさに
ふと 胸が熱くなる
そんな日があってもいい
そして
なぜ胸が熱くなるのか
黙っていても
二人にはわかるのであってほしい


「星の王子さま」の作者であるサン・テグジュペリが残した「愛、それはただ互いに見つめ合うことではなく、ふたりが同じ方向を見つめることである」という言葉を思い出しました。



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Posted by Nori at 19:51│Comments(2)独り言
この記事へのコメント
明けましておめでとうございます。
正月早々賑やかなお話で、感心する多義にわたるお話です。
お正月はゆっくり過ごされましたでしょうか。
ここのところ寒い毎日です。お体にはお気をつけ下さい。
今年もよろしくお願いいたします。
Posted by なっちゃんなっちゃん at 2015年01月04日 14:55
なっちゃんさん、明けましておめでとうございます。
すっかりDVD鑑賞三昧の寝正月でした。オフィスにも出入りしてみましたが、スグに心は折れ、自宅にとんぼ返りする日々で、得るものもない正月です。
それをゆっくりといえば、そうなのかもしれません。
年々、新年を迎える感覚も、鼻をたらしていた頃のようではなくなってしまい、独特な盛り上がりにも反応できなくなってしまったような気がします。
昨夜もサモア人夫妻と新年会と称して食事をしてきましたが、いつもと変わらぬ呑み会でした。
なっちゃんさんこそ、お体を大事になさってくださいね。
今年もよろしくお願いいたします。
Posted by NoriNori at 2015年01月04日 16:22
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