2014年08月27日
風林火山

「そーよ、そーよ、春チャンならソコがいいわ」と奥様も賛同します。
旅好きで美食家の先輩御夫妻は県内外問わず、絶景ポイントやその町の人達さえも知らないような食事処を知っていて、私の旅を助けてくれます。
今までにもいろんな場所やお店を紹介していただきましたが、ハズレたことはありません。

以前も書きましたが、ラーメン屋にしろソバ屋にしろ、「アソコはオイシイ」と紹介されて必ずしもオイシイと思えるお店ばかりじゃなく、人それぞれの好みがあるコトは承知していますし、もちろん私の舌ベラが、いわゆるオイシイと言われるオイシサを感知できるレベルでないことも隠しません。

国道52号線を一本道で北上することもできますが、用事がある以上、抜け道の多い富士朝霧ルートにしてみました。
朝霧高原を抜けるこの道は、ゴールデンウィークあたりの「芝桜」の時期には本栖湖付近で大渋滞になりますが、その時期をはずせば快適なドライブルートです。

富士山が見える所に住んでいながら、家から見える富士山も、真下から見る富士山も大好きで、見る度にチカラをもらいます。不思議です。
頂上で、足元にある富士山もまた、達成感と共に偉大なる霊峰富士との一体感が感無量であるコトは言うまでもありません。

精進湖から甲府までの山道は、紅葉の季節もステキですが、新緑まぶしいこの時期もなかなかのモンです。
中央道の甲府南インターチェンジを右に見ながらまっすぐ進めば武田信玄公が鎮座まします甲府駅に突き当たります。
教えていただいた「専心庵」もナビによれば駅の近くのはず。
急ぎの用事でもないので、先にソバ屋の場所を確認しちゃうのは私のクセです。

知らなきゃ絶対素通りだし、ナビがなければたどり着けそうもない「専心庵」は店の看板も控え目で、周囲の民家に完全に溶け込んでいる印象です。
開店前で、4~5台しか停められそうもない駐車場にはまだチェーンがかかっていました。
場所が確認できれば早々に用事を済ませ、それでもソバ屋の開店時間にはまだ早いと思えば、信玄公ゆかりの「武田神社」を攻めてみることにしました。
ゆるやかでまっすぐな上り坂の突き当たりに「武田神社」はありました。

みやげ物屋の軒先にはやはり「風林火山」と、「信玄もち」ののぼり旗が掲げられ、目隠しをされて連れてこられてもきっとココが山梨県だと言うことはわかってしまうんでしょう。
混み合っているとは言えない駐車場にクルマを停め、朱塗りの橋を渡り大きな石鳥居をくぐります。
宗教家ではありませんし無宗教ですが、その場所のシキタリには抵抗なく従い、拝殿で手を合わせます。
こうするのはキライではありません。

教えていただいた師曰く先様に「健康」をお願いしておいて、「暴飲暴食」ではムシが良すぎると言うわけです。
私ごときが「願いごと」など100万年と3日ほど早いんです。
彼らにはどんなふうに映るんでしょう。いやいや、私達よりよっぽど豊富な知識で日本の歴史的財産をお楽しみいただいているのかも知れません。
若い大学生のグループの姿もありました。
少々はしゃぎ過ぎな面は否めませんが、こういう場所を選んできたことに敬意を表し、目をつむります。

信玄公がどれほどの武将だったのかさえわかりませんが、「宝物殿」が併設されているのならそれには興味があります。
地味なチケット売り場を通り、中へ進みます。
500年も前の先人達が作り出したすべては圧巻で、そりゃぁ宝物です。
ご本人達は、まさかこんな風に展示され、見せ物にするつもりなど毛頭なかったはずですが、私には理解できないような手入れもされているんでしょう。

私の前に材料を並べられてもどう作ればいいのかなんて想像もつかない代物を先人達は、目的通りにカタチに仕上げています。
人を斬ったであろう刀には不思議と魅了されました。
特別公開されていた「孫子の旗」なるものには合戦の生々しいニオイのようなものを感じました。

たぶん、興味がなければ5分以内で出て来れるんでしょう。
境内の水琴窟(すいきんくつ)や姫の井戸なんかに加え、甲陽武能殿と名付けられた舞台では「能」や「神楽」が定期的に演じられているようで、地域のみならず多くの人達に支持されている神社なんだと勝手に推測します。

小さな駐車場は私が停めるスペースを残し、すべて埋まっていました。
作務衣(さむえ)姿で出迎えてくれたのは私より先輩に見える男性で、てっきりこの方が店主かと思えば、厨房の中にはソバを茹でる作務衣姿の方もいてホントのトコは不明です。

「十割蕎麦です」と出てきたのは見るからに10割のイイ意味で無骨な蕎麦。
クチに入れなくても絶対おいしい見かけは、裏切ることなく楽しませてくれました。
続いて出てきたのは「二八蕎麦」で、最初に10割を経験しちゃっているので、風味と共にノドゴシも楽しい蕎麦でした。
蕎麦豆腐なる逸品もクズモチのような食感で、デザートといったところでしょうか。
こちらもなかなかです。

香り高く、麺ツユで割らなくてもかなりおいしくいただけました。
店内設計や調度品にこだわったコジャレタ雰囲気はないものの、「味一筋」で勝負している潔さも気に入りました。
この日の店員さんは私よりも先輩に見える男性ばかりでしたが、「味」で勝負しているんですから、「一輪の花」が恋しいなどと下世話な発想がよぎることもありませんでした。
「天ざる」好きの私としては、天ぷらがないのは少し残念な気もしましたが、メニューに無いなら、お考えがあってのコトでしょう。
店員さんにおいしく満足できたことを伝え、店を出ました。

普段八ヶ岳へ向かう道中で、素通りしてしまうこの町にもう少しだけ留まる時間はありそうです。
駅前で見た大きな看板を思い出し、「昇仙峡」を目指すことにしてみました。
微塵の予備知識も無いまま、看板を追っかけて市街地からほどなくして山道を駆け上がります。
下りてくる対向車はどれも他県ナンバーで、きっと彼らも「昇仙峡」に行ってきたんだと思われます。

すぐにそれらしい景色に変わり、ドライブインのような大きな駐車場にたどりつきました。
目の前にはどこかで見たことがある渓谷がそびえ立ち、「昇仙峡」の入口です。

要は、昇仙峡は渓谷美を楽しむ場所で、全長5キロほどの区間の中で、滝を楽しんだり、川のせせらぎに耳を傾けたり、自然の偉大さを感じながら散歩する場所のようで、クルマをココに置いて往復して来るもヨシ、折り返し地点となる上流までタクシーで移動して、片道だけ楽しんで戻ってくるもヨシ、と言葉巧みなタクシー運転手の営業トークを聞かされてしまいました。
「私の案内で、片道たったの900円。ガイド付きなんだから安いモンだよ」と、ナニが基準かはわかりませんが、雨粒も大きくなってきたので、運転手の言いなりになって片道だけ楽しむことにしてみました。

「ねぇ、オレ、まさに今、強引な客引きに乗っかってる最中?」
「お客さん、気にすることはないですよ。あれはみやげ物屋が勝手に作ったニセ看板ですから・・・」
雨はゲリラ豪雨に変わり、絶景も雨の向こうに消えてしまいました。
決まりごとなのか、タクシーはところどころで停車しながら、渓谷の名前や由来なんかをガイドしてくれますが、窓も開けられず、「ふむふむ、なるほど」と合の手を入れるだけです。
自慢のロープウェーも「今日はやめた方がイイ」と私のぶらり旅に指示を出します。

水晶とかがとれるらしく、価値のわからない様々な石が、たくさんのゼロをつけて売られていましたが、今の私に必要なのは傘と長靴です。
15分ほど雨を見ていたでしょうか。明るくなり、霧雨みたいになった瞬間を見逃さず、歩き始めます。
長い階段を下り切る頃、近づく大きな音と共に現れた「滝」は迫力満点です。

すっかり整備された遊歩道ながら、ゲリラ豪雨の直後とあって水たまりをよけつつ、切り立った渓谷を見上げつつ、なかなか忙しい散歩です。
木漏れ日と共に霧状のシズクが無数に落ち、幻想的な景観を作り出していました。
甲府市街地からわずかに30分。
隣り合う空間ながら、全くの別世界に心は踊ります。

USJに突然現れたハリーポッターの世界もすごいらしいデスが、甲府盆地に現れる「昇仙峡」は長い時間をかけて自然が生み出したものだと考えると、一層神秘的と言うか、運転手が言っていた「偉大さ」みたいなものを感じずにはいられませんでした。
興奮気味に釜平の母さんに話すと、「今さら行ったの?」と、冷ややかな反応ですが、いつまでも美しいものを美しいと言える自分でありたいと、いずれまた時間をたっぷりとって「昇仙峡」を訪れることを誓うのでした。
長文にお付き合いいただきましてありがとうございました。そしてごめんなさい。
Posted by Nori at 21:51│Comments(2)
│ぶらり旅
この記事へのコメント
こんにちは。
静岡から甲府まで1時間半で行けるんですね。
もっと時間を要するのかと思っていました。
武田神社の写真を見て、懐かしく思いました。
もうかなり昔、昇仙峡や武田神社を訪れました。
美味しいお蕎麦に出会えて良かったですね。
その後、子供たちと山中湖、河口湖などにも
行きましたが、その時は山梨名物の吉田うどんを
食べましたが口に合わず残してしまいました。
それがつい先日に、孫が学校が行う勉強合宿で
山中湖のホテルに5日間滞在した時、吉田うどんが
食事にでたそうです。それが美味しかったようで
お土産に買ってきました。早速食べてみました。
それが美味しかったですよ。話によると富士吉田に
19軒も吉田うどんを作る工場があるらしいですね。
駅の道などは、観光客が集まる所ですから
美味しく食べさせて良い印象を残す努力がほしい
ですね。
静岡から甲府まで1時間半で行けるんですね。
もっと時間を要するのかと思っていました。
武田神社の写真を見て、懐かしく思いました。
もうかなり昔、昇仙峡や武田神社を訪れました。
美味しいお蕎麦に出会えて良かったですね。
その後、子供たちと山中湖、河口湖などにも
行きましたが、その時は山梨名物の吉田うどんを
食べましたが口に合わず残してしまいました。
それがつい先日に、孫が学校が行う勉強合宿で
山中湖のホテルに5日間滞在した時、吉田うどんが
食事にでたそうです。それが美味しかったようで
お土産に買ってきました。早速食べてみました。
それが美味しかったですよ。話によると富士吉田に
19軒も吉田うどんを作る工場があるらしいですね。
駅の道などは、観光客が集まる所ですから
美味しく食べさせて良い印象を残す努力がほしい
ですね。
Posted by なっちゃん
at 2014年08月28日 12:53

なっちゃんさん、こんばんは。
静岡はかなり涼しいです。先ほどまでパラついた雨はやんでいるようですが、一時期のまとわりつくような湿気と違い、気持ちいい感じです。
昇仙峡も武田神社もずっと昔から存在するわけで、今さら私ごときが報告しなくても皆様の方がよっぽど知ってらっしゃるんでしょうが、今さらながら小僧が新発見でもしたかのように感動してるんだと大目にみてください。
それにしても長文になってしまい恐縮です。
まだまだ知らないことや場所がたくさんありすぎて恥ずかしい限りですが、私は案外楽しんでいます。
吉田うどん・・・気になりますねぇ。
アッチ方面ですと、なかなか仕事がらみというのはありませんが、紅葉の時期も目の前だとしたら、散策がてら出かけて、吉田うどんネタを披露できるかもしれませんね。
静岡はかなり涼しいです。先ほどまでパラついた雨はやんでいるようですが、一時期のまとわりつくような湿気と違い、気持ちいい感じです。
昇仙峡も武田神社もずっと昔から存在するわけで、今さら私ごときが報告しなくても皆様の方がよっぽど知ってらっしゃるんでしょうが、今さらながら小僧が新発見でもしたかのように感動してるんだと大目にみてください。
それにしても長文になってしまい恐縮です。
まだまだ知らないことや場所がたくさんありすぎて恥ずかしい限りですが、私は案外楽しんでいます。
吉田うどん・・・気になりますねぇ。
アッチ方面ですと、なかなか仕事がらみというのはありませんが、紅葉の時期も目の前だとしたら、散策がてら出かけて、吉田うどんネタを披露できるかもしれませんね。
Posted by Nori
at 2014年08月28日 19:45
