2015年03月30日

湯治

湯治まさに年が変わろうとする頃。
ただ月が変わるだけのその瞬間にいろんな思いを乗せ、世の中が酔いしれている中、私はとっくのとんまに夢の中でした。
まさかそんな瞬間に、出先でアゴをはずし、一緒に居た仲間たちがネットで医療サイトを見ながらはずれたアゴを元に戻そうと悪戦苦闘するも、素人集団だからこそ音(ネ)をあげ、救急車要請!
到着した隊員さんたちはアゴをはめる技術を持ち合わせておらず、サイレン鳴らして病院へ。
アゴのセンセにはめてもらい、「6,000円もとられたぁ~!」と、絶対ナイショを前提に話してくれました。
湯治ご家族の皆さんからは「写メ撮った?」「アゴのはずれた人間見た事ナイから!」と薄情な感想までオモシロイのに、人に言うな!ブログに書くな!笑うな!と私の手足を縛るので、実名及びニックネームの紹介も控えさせていただきます。
しかし、もっとオモシロク書けるのに、誠に残念ではありますが新年早々に起きた実話を、コトもあろうに今日まで私に黙っていられた事に敬意を表し、ホトボリが冷めた頃に再度詳細に綴るチャレンジができればと野望を燃やしていることだけはご報告いたします。

湯治数年前から私を苦しめる背中に走る鈍痛がアチコチに転移し、最近では背中から胸までアバラ骨全体に激痛が走るようになりました。
アンジーは「アバラにヒビでも入ってんじゃないの?」とテキトーな診断をしてくれますが、度々襲う激痛に「これだけの激痛なら折れてるだろっ!アバラが全部崩れ落ちて肩がヘソのあたりまで落っこちたら救急車呼べよ!」と減らず口だけは健在ながら痛くて眠れなかったり、痛過ぎて飛び起きる日が続けば、さすがに冗談の域は越えているんでしょうし、ナニよりカラダを動かす度に息が止まるほどの激痛は耐え難いものです。

湯治「もはやコレまでか・・・」と、ハラをくくってみるも翌朝も、またその翌朝も目は覚め、窓から見える青い空を恨めしくさえ感じる事もありました。
痛い痛いと言ったところで良くなるはずもなく、さりとてうっかり病院に行って妙なものが見つかれば厄介なだけで・・・

あくまでもゲンコロ(元気にコロリ)、ピンコロ(ピンピンコロリ)を望む私は、ビンビンな時にコロリだけは避けるよう心掛けています。
病院がキライなわけでも、おチューシャが怖いわけでもありません。

湯治しかし、神様はなかなか見放してはくれないわけで、人間関係も広範囲になるとひょんな事から診断を受ける機会に遭遇してしまいます。
症状を伝えると、「肋間(ろっかん)神経痛」の疑いがある事が判明します。
原因は様々なようで、症状もまた様々。
酒との因果関係はわからないものの、麻酔薬としての効果は実証済みで、呑めば痛みも気にならなくなり、苦しむ事なく眠りにつける事はわかっています。
一概に断定する事はできないようですが、処方されたクスリで様子を見る事になりました。

湯治「神経痛」なんて、年寄りの病だと思っていましたが、51にもなれば決して無関係な年頃でもなく、「若者」ではない事を素直に認めて謙虚に生きようと思っています。
どんなに頭痛や生理痛がひどくても鎮痛薬を飲まない私にとって、今回の鎮痛薬は効き過ぎるほどでした。
多少の違和感は否めないものの、たちまち痛みは遠退き、あのいまいましい過ぎし日々がウソのように去りました。
一時的にしろ開放された私は、ずっと心配してくれていた釜平の母さんに勧められ「温泉」を目指します。

温泉。。。

湯治”キライな食べ物”が「クチのワルイ女」で、”行きたくない場所”が「温泉」な私。。。

いつからそうなったのか、ちゃんと洗って入っているのか?病気じゃないか?チョットチョット!「アーッ!」とか言いながら天井見てウットリしてるけどトイレですることしちゃってるんじゃないの?と疑えばキリのナイ他人との混浴が、どうしてもできなくなって、温泉絡みのイベントなんてムスメたちが小さい頃に行った吉良温泉が確か最後で。。。

湯治頼まれてもいない桜ごときだって開花するんだから、いっちょオレも開花してみるか!と、背中を押されるように意を決し、「泉質がいいのよ!」と母さんお勧めの「川根温泉」あたりに行ってみる事にしました。
日帰り温泉なら「湯治」には程遠いものの、久しぶりのドライブも兼ねての温泉で、カラダもココロもリフレッシュできるのならば充分な「湯治」です。
川根なら知った道!と、ナビに頼るコトもなく霧に包まれた視界10メートルほどの山道をオシリの穴を縮めながら走り抜き、霧が晴れた頃にはSLの終着駅「千頭」まで数キロのところでした。

「川根温泉」

湯治看板によれば左折のようで、千頭方面とは違うようでした。
”春”間近の川根路の昔ながらの大きな家の庭先には、その時期の柿ほどの花をつけたモクレンがたわわに咲いていて、山の中腹や道路沿いには「開花宣言前」の寒桜が見事な濃いピンクで春を告げていました。

どのくらい進んだでしょう。
「これじゃぁ、島田まで下っちゃうな。。。」なんて大井川沿いを下流に向かって走りますが、温泉街の雰囲気は一切漂わず、聞いた名前の割には観光地のようでもありません。
看板が「川根温泉まであと2キロ」と示していても、「ウソだろ・・・」というカンジです。

湯治「え?ココ?・・・」
どうやら川根温泉は「道の駅」の役割も担っているようで、多くの「道の駅」がそうであるようにドライブイン的なノリで存在していました。
目的地はその隣のホテルで、教えてもらった通り大きな横断幕には「日帰り温泉」の文字が。
いいのか悪いのか隣の川根温泉(道の駅)と共有スペースに見える駐車場にクルマを停め、田舎の温泉にしては全く情緒の深くない佇まいのホテルに入ります。
タオルを入れたリュックを背負っていれば確かにそうなんでしょうが、「日帰り温泉ですか?」と目的を見抜かれます。
湯治券売機で「日帰り温泉」のチケットを言われるままに購入すると、チケットを見せてもいないのに、別のスタッフが近づいてきて「こちらへ」と促され、バイキングスタイルのレストランへ連れていかれます。
時は昼時で、満席状態でした。
聞いたところでは、「子どもの入場お断り」のはずだったのですが、ちゃんと走り回り泣き叫ぶ子ども達がいました。
できるだけ彼らから離れた場所を選びたいところですが、どうやらそんな勝手は許されず、わずかに空いているいくつかの席はどこも私の希望通りの席ではありませんでした。
ジイさんばかりなら、皆さんのモラルを信用してあきらめもつきますが、「この子たちも温泉に一緒に入る?」となると、私の「開花宣言」も揺らぎます。
湯治ココまで来たらハラをくくるホカありませんので、早々に食事を済ませ、温泉のある2階へ移動します。
風呂はふたつあって、源泉掛け流しのアリカリ泉と、炭酸泉の露天風呂でした。
隣り合ったどちらからも大井川をすぐそばに見る事ができて、川をまたぐ赤い橋は大井川鉄道なんでしょう。

休み休みふたつの風呂を行ったり来たりしながら1時間ほどが過ぎた頃、大きな汽笛と共に真っ黒い煙を吐きながらSLがゆっくりと橋を渡っていくのが見えました。

湯治温泉に浸かっていた全員が一斉に立ち上がり、同じ方向を見ている姿に、夏祭りの屋台で売っている風鈴を思い出しました。
走り去るSLに、ページがめくられたように皆さんが帰り支度を始めるので、私もそれに従います。
温泉効果なのか、はたまた自然治癒力なのか、それともやっぱりオクスリのせいなのかはわかりませんが、すっかりカラダも軽くなり、島田経由で清水に着いた頃にはグッタリ疲れきっていました。
次回の湯治まがいの温泉旅があるんだとすれば、誰かのクルマに便乗させていただく所存です。             



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Posted by Nori at 20:10│Comments(2)ぶらり旅
この記事へのコメント
すっかり春になりました。
川根温泉に日帰りの湯治でしたか。
体が軽くなって良かったですね。
旅の本にもよく記載されていますね。
SL列車を眺めながら、湯につかって
いる写真。今の季節は春爛漫と言った
ところでしょうか。
冗談はともかく、体を労りましょう。
Posted by なっちゃんなっちゃん at 2015年03月30日 23:23
なっちゃんさん、こんばんは。
雨の予報もどぉなっちゃたのか、心地よい春な一日でした。
筋肉痛ならまだしも、意味のわからない鈍痛が続いていただけに開放された気分です。
キライなはずの温泉でラクになれたことは嬉しいことです。
歳相応の生活を心がけますね。
ご心配いただきありがとうございました。
ちなみにSLの
先頭車両は”きかんしゃトーマス”で大人気のようです。
乗っちゃえば見えないのにねぇ。。。
Posted by NoriNori at 2015年04月01日 20:18
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