2013年03月17日

いぶりがっこ

いぶりがっこ私がお酒を楽しませていただく居酒屋さんは、なにも釜平だけではありません。
昨年、幼馴染みで同級生のジュンコ社長が、接待をしてくれると言うので、「ハイハイ」とお供をすると、着いた先は30年近くも前に先輩たちに連れられて、外国のオネェさんの店に行く前に、コバラを満たしつつ、オネェさんたちが出勤する時間が来るまで控室みたいに利用していた「新生丸」でした。
漁船を所有するこの店は、海が荒れたり不漁の時にはお店が開かない「採れたて主義」を貫く店で、その姿勢は今も変わっていないようです。
ナンでも採ってきちゃいますから、ピカピカした魚がゴロゴロ押し込まれたネタケースには見たこともない魚が入っていることもあります。
いぶりがっこカウンターには10名ほど、そのすぐ後ろのコアガリには4人がけのテーブルが4つほどの広いお店ではありませんが、7時過ぎにはいつも満席になっちゃう繁昌店です。

若き私は当時、ネタケースの中に不気味で見慣れぬ魚を発見すると、「ナニコレ?」と質問をするのですが、「海で採れたもので食えないものはない!」と主張するマスターから手渡された「魚図鑑」で似た魚が深海魚であることを見つけると、「煮りゃぁ食える!」と皆さんが口にしたことのナイかもしれない魚のような物体をずいぶん食べてきました。

いぶりがっこおかげさまで30年近く経った今も無事なので、マスターの「海で採れたもので食えないものはない!」という主張は間違っていないのかも知れません。
30年も経って足を踏み入れた「新生丸」はこの日も満席で、予約してなければ入ることができませんでした。
「ぉおー!」と迎え入れてくれたマスターは30年分死に近づいたものの、カウンターの中で変わらず包丁を持っていました。
一瞬にして埋まるブランクを喜びつつ、懐かしい名前の登場に一喜一憂し、当時のバカげたエピソードまで蘇れば、新鮮な魚も一層おいしくいただきます。
カワハギの肝和えや新生丸巻きは人気メニューで、味はもちろん見た目もゴージャスで、ボリューム満点の刺身を頼んだら、たちまちおなかはいっぱいです。

いぶりがっこその後、折に触れ、顔を出させていただくようになり、欠かさず予約を入れ、時間通りにお邪魔しています。
先日も同様にオフィスの最寄り駅から友人と私鉄に乗り、4駅先にある「新生丸」を6時半予約で少なからず罪悪感を感じながら目指しました。
時間通りに店に到着すると、既に満席。
「どこに座れば?・・・」
「ゴメン!入れなくなっちゃった・・・」と平謝りのマスターは、まさかの入店拒否。

いぶりがっこ電車に乗って釜平に戻ることもできそうですが、せっかく出て来たのだからと馴染みの店を当たるもアベノミクスの効果が出始めたのかどこも満席。
7時前だと言うのに、清水の街は活気を取り戻していました。
心当たりも出尽くし、アソコがダメなら釜平に戻るかと、現在地からは少し離れた「ぽれぽれ」を徒歩で目指します。
この店は魚がオイシイばかりか、手の込んだ豊富なメニューがウリで、さほど広くないお店ながら若者や女性客から支持されるお店です。

いぶりがっこJR清水駅が最寄り駅ということもあって、遠方のお客さまのゴヒイキも獲得していると言いますから流石です。
辛うじて空いていたカウンターに座ることを許可され、無事入店。

いつもの「イルカのタレ」に加え、「スマシ」と呼ばれるイルカのヒレの塩干しをオーダーすれば、やっと乾杯です。

ここのオーナーのタクちゃんは不思議なものを上手に見つけてくる人で、いつ行ってもなんだか聞いたことのないような美味を食べさせてくれます。

いぶりがっこカウンターのまわりにベタベタ貼られたメニューの中に、ひときわ不思議な文字を発見しました。
「いぶりがっこ」ってナニ?
一緒に行った友人は知っていたようですが、私はその面白いヒビキにどんなものなのかの想像すらできず「初オーダーです」というタクちゃんの喜ぶ顔に食べ物であることだけは間違いなさそうです。
出て来たのは輪切りにされた漬け物のように見えました。奈良漬けみたいな色でシワシワです。
食わず嫌いでない私は躊躇することなく口に入れると、瞬時に広がるほのかな木の香り。
歯ごたえもあり、ナカナカの珍味です。

ビールよりも日本酒の方が合いますよ」という「いぶりがっこ」は大根で作ったたくあんの燻製で、秋田県の有名な名産品とのことでした。

いぶりがっこなかなかハマる味わいに、時々スーパーでも見かけるなんて情報もゲットし、気にしていた昨日。
納品ついでにヤボ用を済ませようと市内を走っていると、信号待ちをしている目の先に「いぶりがっこ入荷しました」の文字。
見知らぬ小さなお米屋さんでしたが、「入荷しました」なんて親切にお知らせをいただいたので、お言葉に甘えてゲットして来ました。
タクちゃんチで食べた「いぶりがっこ」の方が、木の香りが強かったようにも感じますが、いぶし具合とかもあるんでしょうし、きっといろんな味があるんでしょう。

ホッとする味に出会えてシアワセなキモチになれました。
まだまだ知らない食べ物がありそうです。
           



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Posted by Nori at 14:32│Comments(0)独り言
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