2013年03月02日

道を知ってる事と・・・

道を知ってる事と・・・カーナビの普及なのか、それともほかの街の人があまり来ないのか、昔ほど道を尋ねられることが少なくなりました。
ケータイやスマホ(ケータイとスマホは違うモノらしいデス)なんかで道案内をしてくれる仕組みもあるようなので、そんなことも相まって、また一つ人間同志を繋ぐ昔ながらのコミュニケーションが消えようとしているのかも知れません。

タバコ屋で店番をするおばあさんナンカに道を尋ねると、言葉やイントネーションが違ったり、明らかに違う街からの訪問者だとわかると、目的地ばかりか、「遠くからおいでなすったなら、アソコにも行ってみるといいよ。ソコを見たらドコドコまで行けばオイシイ郷土料理や名産品があるよ。」なんて道を知ってる事と・・・プチ観光案内までしてくれていたこともありました。

私は昭和な人間なので、文明の利器に頼ることなく、できるだけ「聞いちゃう派」ですが、何度も行ってるはずの東京では、道どころか、電車の乗り換えも良くわからない上に覚えられず、しょっちゅう駅員さんや、その辺の人に聞いちゃいますから、「どイナカモンが!」と、とてもお忙しそうな「ミヤコ」の皆さんから冷ややかに笑われているのかも知れません。
そういえば、昔のように交番で道を聞くなんてこともなくなりました。

道を知ってる事と・・・さすがに、この市内であれば、生まれも育ちもこの街なので細かな地名はともかく、大きな目印さえわかれば、ほぼ目的地にたどり着くことができますが、結婚を機に20年近く前に東京からやって来たアンジーの道案内はちっともわかりません。

彼女がナニを目印に移動しているのかは未だに不明で、渡り鳥として生まれて来なかったことを神様に感謝するべきだと思います。

道を知ってる事と・・・私のオフィスのまわりには電停や学校なんかがあり、目立つ商業施設も多いので、私鉄の「御門台(みかどだい)駅」を目指して来ていただければ、迷うこともなくたどり着けると思いますし、10年以上も守神の大役を担ってくれているベランダのスパイダーマンの認知度も上がったのか、「御門台駅あたりのスパイダーマン」と伝えればわかっていただける方たちもいるようです。

自治会館の完成に伴い、寄付をしてくれた人達の名前を自治会館の中に掲示したいと、200名ほどの名前木札の制作のお仕事をいただきました。
道を知ってる事と・・・いつもながら安請け合いをしてしまったお仕事が2週間ほどかけ、やっと終わり、大先輩にわざわざ取りに来てもらうのも申し訳がないので、お届けすることにしました。
打合せの度に何度も弊社に足をお運びいただいた大先輩は、地元の太鼓チームの指導者で、「お日待ち太鼓」を若者たちに伝承しながら地域活動も熱心にしてくれています。
自治会役員の肩書きをエライものだと勘違いする人達とは一線を画し、若者の声に耳を傾け、決して自分の経験や知識を押し付けることなく「できることからやってみよう」というスタイルは私は好きですし、たくさん教えていただきます。

道を知ってる事と・・・さて、商品をお届けするのはいいのですが、私は先輩の家を知りません。

完成した自治会館の位置から想像すれば、さほど遠いはずもなく、「お届けしますよ」と電話でおウチを教えていただきました。

「アンタんトコから来ると、左側のホンダのフィットがある家だよ、千手寺の50メートルほど手前。」

道を知ってる事と・・・道路の名前も大体の位置関係もない、ざっくり過ぎる説明ですが、千手寺はわかりますので旧東海道沿いのアノ辺かと、アタリを付けクルマで5分ほどのその場所に向かいます。

私はクルマの車種とかが良くわからず、せめて色だけでも聞いときゃよかったと、片側一車線の狭い道で、クルマについた小さな「H」マークを気にしながら進みます。

何度も千手寺にたどり着いてしまい、降参して再度電話をしてみる事にしました。
「なんだ?わかんないのか?」と、しょうがないなぁと言わんばかりに、オモテに出てくださると言うので、家から出てくる人影を待ちました。
道を知ってる事と・・・私のクルマに向かって手を振る人が現れたので、クルマを寄せました。
完成した木札を見ながら「立派にできた」と喜んでいただき、まだ少し追加が出そうだと、もうしばらくおつき合いが続きそうです。
駐車場らしき場所を見ながら「あれ?フィットは?」と聞くと、「朝から女房が乗ってってる」と。
それではクルマの色を聞いたところで、先輩の持ち物紹介にしかなりませんでしたが、動いちゃうものを目印にしておいて、一切悪びれる様子もない先輩に器の大きさを感じました。
私なら「小学校を通り過ぎたら左側4軒目のウチ」と道案内したでしょう。

この街には現在ありもしないのに、過去にあったものがその場所の通り名のようになっているところがあります。
「八幡の踏切」「記念塔」「警ら隊」「次男坊団地」「龍勢通り」などが有名です。
その昔実在していたようですが、私は見たこともないのに、「八幡の踏切を北へ」とか、「記念塔の交差点を左折」などと使っています。

道を知ってる事と・・・「水道山」とか「竹やぶ」とか、古くから住んでいるその近所の人しか使っていない、ごく狭い地域の通り名を目的地として伝え、先日酔っぱらったワコさんは「水道山と言ったらココよ!」「いや、この地域一帯が水道山だ!」と、タクシーの運転手とモメにモメたと新鮮な話題のように私に話してくれましたが、モメたというその夜、タクシーを降りたワコさんは、その勢いのまま私に電話をして来て、タクシー会社にクレームの電話を入れさせたことを覚えていないとなると、果たしてどちらの味方になるべきか悩みます。

せめて自宅くらいは、誰でもたどり着ける目印や道順で伝えられるように日頃から準備しておいた方がいいのかもです。  

「道を知っていることと実際に歩くことは違う」と言った人がいます。
深い言葉なので、解釈は様々にできると思いますが、「水道山」にしろ、「竹やぶ」にしろ、親しまれ、なぜか使い続けられる地名や場所の背景をたどっていくと、私たちが忘れてしまったかもしれないあたたかな世界に通じる道に繋がっているのかもしれません。         



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